世界的な金融緩和によるカネ余りはいつまで続くのか。金融の影響力が大きい今の時代には、なかなか金融を引き締めるのは難しい状況にあります。しかし、金融緩和が永遠に続くということもないでしょう。
現在は、ESG投資が活況です。この理由の一つに、カネ余りがあると思います。金融機関としては、社会に貢献しているというイメージが得られるESG投資は、余っているカネの使い
道としては、筋の良いものです。
問題は、金融の引き締めでカネ余りにブレーキがかかってもESG投資の活況は継続するのかということです。ESG投資で十分なリターンが得られれば問題はないでしょう。しかし、ESG投資で十分なリターンが得られるかについては、懐疑的な見方をしている人も多いでしょう。それもそのはずで、ESGを考慮すれば自動的に高いリターンが得られるということは当然ありません。
一方で、個々の企業をみた場合、ESGの取り組みを戦略的に行えば、長期的な競争力が高まるのは間違いありません。気候変動の影響を大きく受ける業界で、脱炭素投資をどう行うかは、長期的な生き残りに直結します。また、あらゆる業界で、人材投資をどう行うかで、長期的な競争力に差が付きます。
すなわち、投資家が、企業がマテリアルなESG課題に戦略的に取り組んでいるかをしっかり評価できれば、ESG投資は高いリターンを生み出すと考えられます。それが出来れば、カネ余りにブレーキがかかってもESG投資の成長は続くでしょう。
しかし、現状は、企業のESGの取り組み、投資家のESG視点での企業評価はいずれも発展途上にあります。逆に言えば、ここには大きなオポチュニティーがあります。それが、ESG投資が注目される本当の理由かも知れません。
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