top of page
検索
takehikomizukami

娘を持つCEOはサステナビリティを重視する

少し古い記事ですが、2016年2月号のDIAMONDハーバード・ビジネス・レビューに、「娘を持つCEOはCSRを重視する」という記事が載っています。CSRというと社会貢献活動のイメージを持たれる方も多いと思いますが、ここでは環境、人権などの取り組みを指しており、現在のサステナビリティと同義です。以下では、CSRをサステナビリティに言い換えて、当該記事の内容を紹介します。


S&P500企業のサステナビリティ・ランキングと各社CEOの子女情報を比較したところ、企業を率いるCEOに少なくとも1人の娘がいると、その企業のサステナビリティの指標は平均11.9%高まり、純利益中のサステナビリティ支出も、中央値と比べて13.4%多いことがわかった。


1992年から2012年までの追跡調査でも、女の子を持つエグゼクティブが経営する会社は、ダイバーシティ、労使関係、環境管理の面で高いスコアをあげていた。社会的に意義のあるサービスの提供という面でも、小さいながら有意の関係が見られた。


ダイバーシティでは+13.5%、コミュニティでは+6.5%、労使関係では+6.3%、製品では+6.0%、環境では+4.6%、人権では+1.0%スコアが高かった。


データを収集できた375人のエグゼクティブ中女性は14人で、14人のこれら女性が率いる会社は、どのカテゴリーでも高いサステナビリティスコアをあげていた。CEOの子どもの男女別よりも、CEO自身の性別のほうが重要かもしれない。


娘が1人いる男性CEOの会社は、女性CEOの会社と比較して3分1弱の結果を出している。平均的には、あらゆる男性は女の子の親になると、他の男性より3分の1だけ女性的に振舞うという仮説が立てられる。


なお、男の子は親の会社のサステナビリティの格付けにも、サステナビリティ支出にも何の影響も与えていない。


これは面白い研究結果です。サステナビリティの社内浸透が多くの企業で課題となっている中、娘を持つCEOがサステナビリティに対する理解や感度が高いとすれば、CEO以外の管理職も含めて、娘とのエンゲージメントが社内の理解浸透に役立つかもしれません。

閲覧数:4回0件のコメント

最新記事

すべて表示

サーキュラーエコノミー時代に注目すべき「成長する製品」というコンセプト

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー2025年1月号に「「成長する製品」を戦略的に開発する法」という記事が載っています。「リバース・イノベーション」などを提唱した戦略とイノベーションに関する世界的権威であるビジャイ・ゴビンダラジャン氏などによる記事です。...

持続可能な社会に向けて資本主義システムをどう変えていくか。-利潤動機の転換とハイブリッドシステムの構築

資本主義システムの構造変化が求められている 資本主義は、良くできたシステムだ。人々の寿命が延び、人口が増え、様々な社会課題が解決され、豊かさが広く行き渡るといった人類社会の発展をもたらしている。 資本主義の特徴は、私有財産、利潤動機、市場経済などにあるとされる。私有財産を認...

食用コオロギベンチャー「グラリス」破産は、昆虫食に対する消費者の心理的抵抗の大きさを示した。しかし、飼料用などからはじめて、長期的視点で頑張って欲しい。

食用コオロギの生産や商品開発に取り組んできた、徳島大学発のベンチャー企業「グリラス」破産手続きを申し立てました。無印良品と共同開発した「コオロギせんべい」が話題を呼ぶなど、一時期は事業が軌道に乗っているように見えました。しかし、2022年に徳島県内の高校から依頼を受け、給食...

Comentários


bottom of page