今年のダボス会議に合わせて世界経済フォーラムが発表したグローバルリスク報告書では、最も発生可能性の高いリスクは、1位異常気象、2位気候変動アクションへの失敗、3位自然災害、4位生物多様性の喪失、5位人為的環境破壊と、すべて環境関連となっています。また、最も負のインパクトが大きいリスクは、1位気候アクションへの失敗、2位大量破壊兵器、3位生物多様性の喪失、4位異常気象、5位水の危機で、こちらも2位以外は、すべて環境関連となっています。
気候変動への懸念の高まりは、豪州の森林火災など被害が顕在化していることもあり、世界的に転換点を迎えているように感じます。また、生物多様性の喪失への懸念も大きいですね。
そうした中、日本政府の2020年の基本方針・政策の考えを示す安倍首相の施政方針演説が行われました。サステナビリティについては、どう語られているでしょうか?オリンピック、地方創生、成長戦略、一億総活躍社会、外交・安全保障について語られている施政方針演説において、サステナビリティについては、外交・安全保障の「国際社会の課題解決」のところで、以下のように語られています。
「20カ国・地域(G20)で合意したブルー・オーシャン・ビジョンには、既に59の国から賛同を得ています。この流れを更に世界へと広げていくことで、50年までの海洋プラスチックごみによる新たな汚染ゼロの実現を目指します。」
「我が国は、5年連続で温暖化ガスの削減を実現いたしました。13年度比で11.8%の削減は、主要7カ国(G7)の中で英国に次ぐ削減量です。長期戦略に掲げた脱炭素社会を早期に達成するため、ゼロエミッション国際共同研究拠点を立ち上げます。米国、EUなどG20の研究機関の英知を結集し、産業革命以来増加を続けてきたCO2を、減少へと転じさせる、「Beyondゼロ」を目指し、人工光合成をはじめ革新的イノベーションをけん引します。」
全体として、気候変動などサステナビリティに割いているボリュームは少なく、パリ協定、SDGs、生物多様性に関する言及はありません。成長戦略の中にも環境に関する言及はありません。世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書と対比すると、かなり内向きの印象です。
サステナビリティを生業としている者としては、地方創生や成長戦略などもサステナビリティと関連付け、もっと積極的な取り組みを期待したいところです。まだまだやることがあるということですかね。
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